2/26付の市民タイムス2面に取り上げていただきました。
2/25に第1回目となる「災害支援鍼灸師養成講座」を開催しました。
講師は、
・松本市医師会災害医療担当理事の平林博先生
・帝京平成大学教授、認定特定非営利活動法人AMDA災害支援ネットワーク代表世話人の今井賢治先生にお願いしました。
また、ご来賓として
・内閣府大臣政務官、鍼灸マッサージを考える国会議員の会所属、中信鍼灸師会顧問の務台俊介議員
・松本市危機管理部危機管理課課長の板倉章様
・松本市社会福祉協議会地域福祉課ボランティア担当係長の高山一郎様をお招きし、ご助言をいただきました。
静岡県鍼灸師会や長野県はり灸マッサージ師会の先生方にも参加をいただき、約60名での講座となりました。
これだけ多くの方にご指導、ご助言を頂き、誠に感謝しております。
平林先生には「松本市医師会災害医療支援チームの取り組みと鍼灸師に求める災害支援」と題して、講義をいただきました。
・松本市医師会は震度6弱以上の地震が起こったときには、医療救護所を設置する
・救急医療と災害医療は違って、救急医療では「ひとりひとりに最良の医療」を行うが、災害医療では「出来るだけ多くの人に」最良の医療を行うことが求められる
・迅速かつ冷静にトリアージを行い、軽傷者を切り離し、重傷者を見逃さないことが大事
・災害での直接死よりも災害関連死の方が多いので、ひとりも見捨てない対応をしていかなければならない
・そのために、栄養管理、生活不活発病(廃用症候群)の予防、エコノミー症候群(深部静脈血栓症、肺塞栓)の予防、避難所の環境整備をしていかなければいけない
ということを教わりました。
・日本医師会ではJMATを編成し、DMATの活動を引き継ぐ
・最後に、避難所での長期生活による腰痛・肩こり・不眠症など不定愁訴への鍼灸治療、生活不活発病予防のための介護予防運動教室に期待をしている。
松本市医療救護訓練への参加も期待していると言っていただきました。ありがとうございます。
医師会では、地元医師会、広域医療協議会、DMAT、JMATと綿密にチームを作り、連携を取りながら、命を救うために真剣に取り組んでいるということが分かりました。我々鍼灸師も医師会と連携を取り、被災者の命や健康を守るためにできることを考えていきたいと思いました。
今井先生には「災害時において鍼灸師に求められること」と題して、講演をいただきました。
・アムダに所属をして、活動をしている。
・アムダでは「緊急医療」:世界中の自然災害や紛争で被害を受けた人の支援を行う。①被災地に近いアムダ支部から情報収集②アムダ多国籍医師団を編成し③救援活動を速やかに開始
「復興支援」:救急支援を行ったあと、生活支援を行う。①緊急医療を行う中で復興ニーズを発掘する②地元のカウンターパート(共同実施者)を見つける③復興支援のプロジェクト開始
を行っている。
・アムダの人道援助の三原則は①誰でも他人の役に立ちたい気持ちがある②この気持ちの前には民族、宗教、文化の壁はない③援助を受ける側にもプライドがある。ということを常に頭にいれ、活動している
・ローカルイニシアティブ(現地主導):現地の問題を一番よく知る人間が一番良い解決策を持っている。現地の価値判断を尊重し、現地主導で活動する。
・行動基準として一般的には何をするかを決めた「ポジティブリスト」を作成しているが、アムダではこれだけはしてはいけないというネガティブリストを作っている
1.被災者に迷惑をかけない 2.医療事故を起こさない 3.他の派遣者の創意工夫を非難しない これにより、柔軟な対応をしている。
・被災地では綿密な医療チームが編成されているので、事前調整なく鍼灸マ師や柔整師グループがボランティアに入ると現地の医療チーム活動に影響を及ぼすことがある
・現地従業者との連携が大事。被災者の苦痛を和らげることが目的だが、地元の医療機関や鍼灸院を支援するという視点も重要である
・実際に急性期を過ぎると医療の患者よりも鍼灸の受療者の方が多くなってきた。痛みやストレスを緩和するのに効果がある。
・鍼灸の復興には医療連携が必要。医師の同意書があれば健康保険の利用が可能である。地元の医師や行政の協力で被災者も簡便に鍼灸治療が受けられる
ということを講義していただきました。
現地主導で被災者を支援し、現地の鍼灸師も支援することが大事だということを教わりました。
今後の体制を作っていく上でも、非常に示唆に富む講義でした。ありがとうございます。
今までやっていたボランティア活動では出来ないことがいっぱいありましたが、今回の講座で「こうすれば活動の幅が広がる」「本当に被災者のためになる」という事柄を発見することができました。しっかりと体制作りをしていきたいと思います。
中信鍼灸師会会長 上條弘明
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